2015.12.07
竣工写真 第3弾! 最終回
こんにちは!
設計・花川です。
通算39回目のブログとなりました。
昨年、この時期にうっかり足を骨折してしまい、
基礎工事の配筋を上から眺めていたことを思い出し、
「よくここまできたなぁ」と感慨深い日々を迎えています。
さて、
今回はフィナーレにふさわしく、選りすぐりの写真でお送りします。
じっくりと味わってご覧いただければ幸いです。
* * *
前々回、白昼の下での外観を四宮からご紹介しましたが、
ブルーモーメントになるとこんな風に:
夕暮れ時のイメージに見えるかもしれませんが、
実はこちら、バスや通行人の邪魔になるのを避けるため、
日の出の直前、人々が寝静まっている時間帯に撮影をしています。
(★カメラマンの須田さん・山村さん、ありがとうございました)
筆者のカメラでもう少し早い時間に撮った写真です:
南側のバルコニーのガラスや木目調のルーバーは、
昼間とまた違った表情ですね。
さらにちょこっと早い時間の北側道路からの夜景がこちら:
2・3階に店舗系のテナントが入ると、賑わいが出て来るかもしれません。
どんなお店が来るか、乞うご期待!です。
* * *
ブルーモーメントはあっという間に過ぎていってしまい、
その後の時間を利用して、昼間の竣工写真を撮影しました。
前々回のブログでも紹介していた、2階南側のテナントへのアプローチ階段:
広場から1フロア分下がっているのに、吹抜けでつながっているので
明るいアプローチ空間となっています。
テナントエリアへは、北側道路から廊下を通ってもアクセスできます:
天井のアルミのルーバーは、住宅へ供給されるガス管や給水管を隠す役目
をするのと同時に、点検等が必要な時の取り外しにも配慮してあります。
* * *
そして、いよいよマンション部分のエントランスへと向かいましょう!
今回、設計と監督とが最も多くのやりとりを重ね、隅々まで
こだわり抜いた部分です。
天井の大工工事の模様は、以前のブログでもお伝えしましたね:
広場の舗装面にあたった陽光の照り返しで天井の木羽目板の色が昼間は引き立ちます。
写真右側、大判タイルが貼られた化粧柱にはテナントへの案内サインを設けています。
'夕方'のイメージです。3階の床とロータリー広場の4段分の段差を、
スロープを併設することでゆるやかにつないでいます。
マンションのエントランス正面。館銘板の裏に直管型のLED照明を仕込んであります。
ブラックステンレスの基板から館名「RUNON(ルノン)」の文字をくり抜いて、
アクリル板を裏当てすることで、白く文字が浮き上がって見えます。
近寄って見るとこんな感じです(クリックするとアップで見られます):
昼間、エントランスからバスロータリー見返すと:
バスを待つ人々のおしゃべりが今にも聞こえて来そうですね★
夜。館銘板のウェルカムライトに迎えられて、いざ、中へ:
エントランス扉をの向こうには、風除室とEVホールが
オートロック付のガラスドアで仕切られ、トン、トンと続きます。
この扉でこだわったポイントがあります:
ドアの茶色い木目の面で、屋内側と屋外側からガラスをサンドイッチしています。
外からは中が見えにくく、中からは外が見えやすいガラスの性質を、手に触れる部分の
まわりで利用しました。
中からはこんな風に見えます:
夜はこの関係が逆転するのですが、このように部分的にガラスを使用し、
屋外・屋内の微妙な距離感を生みだしたかったのです。
風除室に入ります:
左脇の黒い天井のゾーンはメールや宅配便を投入するコーナーです。
自動ドアを抜けて奥へ進むと、、、
EVホール脇の黒くて低い天井のゾーンです。
小型の宅配便であればロッカーを使用せず、
このポストで直接荷物を受け取ることができます。
機能的な空間はぎゅっと・コンパクトに・黒くまとめ、対照的に
EVホールを含む、待合的な性格のスペースは白く・明るく・
開放感を感じさせやすい空間としました。
画像だとなかなか雰囲気が伝わりにくいのですが、
天井にはコーブ照明 (凹みを利用した間接照明) を設けたのも、そのためです。
* * *
最後になりましたが、長い間ご愛読いただき、本当にありがとうございました!
もし、センター南の駅前に用事がありましたら、改札を出て
左側の広場に面する、 「ルノン」 を思い出していただけたら幸甚です。
そして、貴重な仕事の機会を与えてくださったオーナー様、
この建物の完成に尽力して下さった全ての皆様に、
設計者を代表し、感謝の言葉を添えてこのブログを閉じたいと思います。
㊗ 完成おめでとうございます ありがとうございました
2015年12月吉日(完)
2015.10.07
エントランスも大工仕事で
しばらくぶりに現場を訪ねると、、
足場の解体が始まり、駅前広場に向かって建物が
ちょっとだけ顔を覗かせていました。
こんにちは!
設計・花川です。
足場の下の方でまだ覆われているマンションのエントランスでは、
こちらの「羽目板」が施工の真っ最中↓
端部に実(=さね)、と呼ばれる凸部(雄実=おんざね)と
凹部(雌実=めんざね)がついていますね!
これが後ほど写真で紹介するように
施工において絶妙な役割をします。
今回は、写真上の「ベイスギ」を建物エントランスの天井に採用。
年輪が詰まっていて、反り・狂いが比較的小さいのが特徴です。
軒下とはいえ、屋外で使用するため、
保護塗料を表と裏に2回ずつ、塗っていただきました。
見える面=片面だけ塗ると、反ってしまうので、見えない
裏面も塗るのですね。
天然素材ならではの色ムラや木目のバラツキがあるのに加え、
ほのかに樹の香りも漂っています。
* * *
このような手間をかけた素材を受け取った平成建設の大工たち。
不燃ボードとベニヤを組み合わせた下地の上に、写真の左から右に向かい、
1列ずつ、丁寧に天井を仕上げていきます。
普段フローリングを貼り慣れている大工たちも、
天地が逆さになると、勝手が違うようですが、
何だかとっても楽しそう。
羽目板の雄実(おんざね)と雌実(めんざね)をかみ合わせ、
頭が見えないくらい細い、フィニッシュと呼ばれる釘を
「パシュッ」「パシュッ」っと音を立てながら
テンポよく打込んでいきます。
必要な材の長さを2人で測って、、
そのすぐそばで切り出し、、
シャッターを点検するための開口をあけた難所にさしかかっても、、
あて木をしてコンコン微調整して難なくクリア。
(この姿勢、けっこうきつそうです・・・)
淡々とした仕事ぶりの中に、積み重ねてきた年月の重みを感じさせられました。
* * *
今回設計で特にこだわった、天井の木と壁のタイルが出会う部分。
陰と溶け合う色で塗装したアルミの型材を間に挟むことでスッキリと壁と天井が
離れて見える、素材を引き立てるための小さな工夫です。
大工さんの丁寧な仕事ぶりは、エントランスだけではありません!
写真でこそ紹介しきれませんが、住戸内の見えない部分であっても
同じように手と頭をバランスよく使い、スピーディに空間を形にしていく
スキルは、頼もしい限りです。
現場もあと1ヶ月弱になり大詰めを迎えています。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
次回も是非、お楽しみに☆
2015.10.01
木の骨組みと鉄の骨組み
祝!
GOOD DESIGN AWARD 2015で、
平成建設が2点のグッドデザイン賞を獲得致しました!!
詳細は、下記のURLを是非!是非!!是非!!!クリックください!
『木のカタマリに住む』の受賞ページ
<ベスト100に選抜されました!!>
http://www.g-mark.org/award/describe/42845
『平成建設 世田谷支店』の受賞ページ
http://www.g-mark.org/award/describe/42973
設計の四宮です!
今回は、賃貸住戸の内部の施工について、全体の流れをお話し致します!
躯体工事が片付くと、窓サッシを取付け、
大工の初仕事として、窓枠を施工します。
その後、内部を快適な温度に保つための断熱材。
そして、給排水管、換気ダクトやユニットバスが施工・据え付けとなります。
↑窓サッシ・窓ガラス、緑色のモコモコとした断熱材、給水管(赤:お湯、青:水)などが施工されています。
↑右手奥にはユニットバスが設置され、上部には換気ダクトが配管されています。
さて、ここからが大工工事の本番開始です!!
↑作戦会議中の渡辺大工と親方:島田大工
二人が上を見上げているように、まずは天井下地を施工します。
天井より前に、壁下地を施工する方法もありますが、
天井を先行する方が作業の効率が上がるそうです。
↑天井の下地は最初に、コンクリートスラブにあらかじめ打ち込んでおいた
「インサート」と呼ばれる金具に、吊ボルトを入れ、吊木を垂れ下げます。
この吊木の長さによって、天井裏に入るダクトのスペースや天井の高さを調節しています。
↑吊木の下に、「野縁受け」と呼ばれる下地材を固定し、
「野縁受け」と直行する方向に、「野縁」という名前の下地材を等間隔に取付け、クロスさせます。
この野縁に後程、天井の石膏ボードを固定します。
壁際は、受け材をあらかじめ仕込んでおきます。
これと固定することで、天井スラブから吊るだけではなく、
壁の躯体からも天井を支えているので安心です♪
↑コンクリートの梁をかわすため、折れ曲がった換気ダクトも、
巧みに避けながら、下地を作っていきます。
↑天井の下地が完成すると、次は壁の下地を建てていきます。
↑続いて床です。
世間では、コンクリートの床の上に直接床材を敷く工法が多いですが、
平成建設では、ひと手間かけています。
コンクリート床の上に、束を建て、その上に写真のパーティクルボードという板を固定。
さらにその上に、フローリング材を敷くことによって、
より防音性に優れた二重床としています。
↑天井の石膏ボードが貼られ、壁もボード貼りが進んできた様子です。
だいぶ部屋らしくなってきましたね。
床はすでにフローリングが貼られ、工事中に傷がつかないように養生材が敷かれています。
設備機器が搬入され、クロスを貼り、扉を入れると、
室内空間はほぼ完成形になります☆
下階のテナント部でも同じような工事が・・・
天井の下地が施工されていました!
こちらも住戸と同様に、
天井インサートから吊りボルトと野縁が施工されていますが…
材質が異なりますね?
これは軽量鉄骨の下地で、
一般的には、壁も天井も軽量鉄骨で作る建物が大多数を占めています。
テナント工事の際には、平成建設以外の職人も工事に携わるため、
この部分は、一般的な工法である軽量鉄骨下地としています。
木材よりも軽量鉄骨の方が一般的になっている背景には、
木を扱う「大工」という職人の減少が否めません。
当たり前のように木材で内装を作る様子を紹介していますが、
これも大工を有する、平成建設の特徴の一つなのです♪
次回は、この物件の特徴!
大工が施工するエントランスの様子をお伝え致します!
2015.08.05
ピーエスのこと
こんにちは、設計・花川です。
しばらく「躯体工事」の話が続いた後なので、今回は
「設備工事」についてご紹介させていただきます。
* * *
コンクリートの構造体が完成した後、次に行うのは、
様々な配管・配線を建物の中に通していく作業。
こちらの写真では、電気屋さんがハシゴで天井に近付き
あらかじめコンクリートに埋め込んであった「CD管」
に電線を通す作業をしています。(手元が見えなくてすみません!)
もう少し寄って見ると、こんな感じです。
この写真の左側に映っているあたりが、建物の中央を縦に
貫通する「パイプシャフト」、通称PS(ピーエスとかパイプスペースとか
読み方はさまざま、、)になります。
左上にオレンジに見えているのが、CD管の入口です。
パイプシャフト全体を別の角度から見たのがこちら:
電気配線、給水管(水色が目印)、ガス管、冷媒管、などを
前面道路内に埋まっている大元の管から建物内の各部屋、そして
屋上へとつなぐネットワーク、その最も重要な中継地点ですので、
配管が密集しています。
(写真には映っていませんが、もちろん排水管もあります)
* * *
パイプ・シャフトのまわりは、配管工事が終わると、
火災から守る為の壁で囲われ、室内側は断熱材で
覆われてしまいます。
一方で外廊下側は、PS内に入って、
メーターの数値を読み取ったり、整備・点検等が
できるよう、鉄扉で覆われます。
シャフトから室内に飛び込んだその他の配管類も、
天井が張られると、見えなくなってしまいます。
私たちが普段目にすることの少ない、こうした配管・配線が、新鮮な
空気や水、そしてエネルギーを私たちの生活の必要な箇所に届け、
日常を陰で支え続けています。
総延長が何キロにもなる配管・配線を、確実につないでいく
地道な作業の積み重ね。その労力の上で初めて、建物は単なる
ハコから日常生活の場へと変貌を遂げることができるのです。
設備屋さん、電気屋さんの着実な仕事に感謝です!!!
* * *
最後におまけをひとつ。
下階での配管工事が続く中、上階では、、、
工事監督の城君が、ダメ穴(※こちらのブログで荷揚げに使われている穴のことです)
を塞いだコンクリートの上に防水材を塗る処置を行っていました。
工事中、雨が降っても下階の工事に支障が出ないための配慮です。
平成建設では、監督がこうした細かい作業を自らの手で
ささっと行うことで、現場を円滑に運営していくのが特徴のひとつです。
2015.05.12
センター南駅の魅力~監督さんの散歩道から
こんにちは!設計・花川です。
年度初めからしばらくは雨の日が多かったですが、
幸いゴールデンウィークは好天に恵まれ、
私も日頃の運動不足を少し解消できました!
●GW前のセンター南駅前広場
さて、
今日はちょっと現場からは離れてしまいますが、
一番最初のブログ(★)に因んで、センター南駅前の変化について
監督さんから届いた写真を交えてご紹介します。
まずはこちら(゚д゚)!
●施工中の現場6Fの南側バルコニーからY監督撮影
設計が始まった頃は何も無かったのですが、
着々と工事が進み、今年4月にオープン
した新しい駅ビルです。
外観もさることながら、
その名「光ビル」が示す通り、
夜もバッチリライトアップされて
輝いて見えます。
さっそく中を覗いてみると、、
駅の改札を抜けてすぐ左手にまず
生活に密着したスーパー・薬局・飲食店の3点セットがあり、
●駅ビルのテナント風景
そこを抜けると、
シースルーのエレベーターに乗って
地上に降りることができます。
●駅ビルから敷地方向を望む
地上バスロータリーと同じレベルには、
バス待ちの時間を優雅に過ごせる
こんな喫茶店もあります。
待ち合わせなどにも便利そうですが、
更にそこからは、
バスロータリー沿いの
ギザギザが特徴的な長~い庇が、
●バスロータリー地上の様子
雨の日にも傘をささずに
敷地まで行けるルートを
きちんと確保してくれています。
つまるところ、今回の建物は
ベビーカーでも車椅子でも安心の
駅直結バリアフリーマンション!
なのです。
しかも、、、
上の写真は一見するとただの広場ですが、
その下には何と、
●バスロータリー地下の様子
585台もの収容台数を誇る
年中無休の地下駐車場が!
(※もちろん有料です)
電車・バス・タクシー・車・
バイク・自転車・レンタカー
多種多様なモビリティに対応した
これ以上アクセスのよい敷地条件は、
そうそう滅多にあるものではありません。
余談になりますが、
この立体的な駅前の造りに
「ニュータウン」の名残りを
感じるのは設計士の私だけでしょうか。
ニュータウンというと、ちょっと
昭和な匂いがしますが、センター南は
未だ成長中の若い街です。
機会があれば、敷地に立ち寄ってみて
頂けたら幸いです!