2015.10.17
鉄 × ギザギザ階段 × 職人
先日、富士山が冠雪しましたね!
通勤時、山頂の色の変化に気がついて、
もうすぐ冬が来るな、と感じた
今日この頃です。
現場のほうは、建物完成を目前に、
いよいよ大詰めを迎えています。
さて
今回はいよいよ!
設計の豊田がギザギザ階段でカッコよく
のブログで以前紹介していた、
アプローチ階段のその後をご紹介します。
* * *
現場に届いた、黒い鉄の山:
いったい何になるのでしょう?
アップで撮ってみました。
この鉄の山、実は全て 9ミリ × 38ミリ の同じ長方形断面をした
パーツで出来ています。
色が黒っぽい訳は、塗装ではない方法で耐候性を高めるため、
特殊なメッキ処理を施しているからです。
溶接している部分がどこか、わかりますか?
さて、気になる先ほどの質問のこたえ、ですが、、
正解は、
「ギザギザ階段の手摺」でした!
(簡単すぎてすみません)
* * *
まず、下の写真で左の柱を頼りに取付けがスタートしました:
次に、1枚、1枚の部材がを腕をつなぐようにして
ボルトで固定され、階段が囲い取られていきます。
●取付途中で穴の位置を調整中
こちらのお茶目な赤い小道具は、、、
●通称:レーザー
このようにして使います:
●赤いレーザー光で水平・垂直をチェックしながら位置を確認中
別の角度から見ると、手摺の脚元はこのようになっています。
4本あるボルトのうち、2本はコンクリートの躯体に固定し、
残る2本で手摺同士をつなぐ方法をとりました。
実は、このボルトの穴の位置を決めるのが、とても大変!
なぜかというと、、、
この写真の1枚のピースを持ち上げるのには、
屈強な大人2・3人分の力が必要。
3つ前の写真のようにレーザーを使って位置出しをしている間、
職人たちは不自然な姿勢で汗だくになってピースを同じ位置に
保ち続けなければならないからです。
全ての手摺が取付られるまでに、丸々3日もかかったのでした:
さらに、北側の階段手摺も、、
無事施工完了しました!
こちらはより握りやすく、太くてシンプルな形に
デザインに変化をつけてみました。
あとは床面のタイルの仕上げを待つのみ、ですね。
***
外回りでは、足場の搬出も終わりつつあります。
外観もいよいよ次回、ご紹介できそうです。
どうぞお楽しみに!
(設計・花川)
2015.10.07
エントランスも大工仕事で
しばらくぶりに現場を訪ねると、、
足場の解体が始まり、駅前広場に向かって建物が
ちょっとだけ顔を覗かせていました。
こんにちは!
設計・花川です。
足場の下の方でまだ覆われているマンションのエントランスでは、
こちらの「羽目板」が施工の真っ最中↓
端部に実(=さね)、と呼ばれる凸部(雄実=おんざね)と
凹部(雌実=めんざね)がついていますね!
これが後ほど写真で紹介するように
施工において絶妙な役割をします。
今回は、写真上の「ベイスギ」を建物エントランスの天井に採用。
年輪が詰まっていて、反り・狂いが比較的小さいのが特徴です。
軒下とはいえ、屋外で使用するため、
保護塗料を表と裏に2回ずつ、塗っていただきました。
見える面=片面だけ塗ると、反ってしまうので、見えない
裏面も塗るのですね。
天然素材ならではの色ムラや木目のバラツキがあるのに加え、
ほのかに樹の香りも漂っています。
* * *
このような手間をかけた素材を受け取った平成建設の大工たち。
不燃ボードとベニヤを組み合わせた下地の上に、写真の左から右に向かい、
1列ずつ、丁寧に天井を仕上げていきます。
普段フローリングを貼り慣れている大工たちも、
天地が逆さになると、勝手が違うようですが、
何だかとっても楽しそう。
羽目板の雄実(おんざね)と雌実(めんざね)をかみ合わせ、
頭が見えないくらい細い、フィニッシュと呼ばれる釘を
「パシュッ」「パシュッ」っと音を立てながら
テンポよく打込んでいきます。
必要な材の長さを2人で測って、、
そのすぐそばで切り出し、、
シャッターを点検するための開口をあけた難所にさしかかっても、、
あて木をしてコンコン微調整して難なくクリア。
(この姿勢、けっこうきつそうです・・・)
淡々とした仕事ぶりの中に、積み重ねてきた年月の重みを感じさせられました。
* * *
今回設計で特にこだわった、天井の木と壁のタイルが出会う部分。
陰と溶け合う色で塗装したアルミの型材を間に挟むことでスッキリと壁と天井が
離れて見える、素材を引き立てるための小さな工夫です。
大工さんの丁寧な仕事ぶりは、エントランスだけではありません!
写真でこそ紹介しきれませんが、住戸内の見えない部分であっても
同じように手と頭をバランスよく使い、スピーディに空間を形にしていく
スキルは、頼もしい限りです。
現場もあと1ヶ月弱になり大詰めを迎えています。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
次回も是非、お楽しみに☆
2015.10.01
木の骨組みと鉄の骨組み
祝!
GOOD DESIGN AWARD 2015で、
平成建設が2点のグッドデザイン賞を獲得致しました!!
詳細は、下記のURLを是非!是非!!是非!!!クリックください!
『木のカタマリに住む』の受賞ページ
<ベスト100に選抜されました!!>
http://www.g-mark.org/award/describe/42845
『平成建設 世田谷支店』の受賞ページ
http://www.g-mark.org/award/describe/42973
設計の四宮です!
今回は、賃貸住戸の内部の施工について、全体の流れをお話し致します!
躯体工事が片付くと、窓サッシを取付け、
大工の初仕事として、窓枠を施工します。
その後、内部を快適な温度に保つための断熱材。
そして、給排水管、換気ダクトやユニットバスが施工・据え付けとなります。
↑窓サッシ・窓ガラス、緑色のモコモコとした断熱材、給水管(赤:お湯、青:水)などが施工されています。
↑右手奥にはユニットバスが設置され、上部には換気ダクトが配管されています。
さて、ここからが大工工事の本番開始です!!
↑作戦会議中の渡辺大工と親方:島田大工
二人が上を見上げているように、まずは天井下地を施工します。
天井より前に、壁下地を施工する方法もありますが、
天井を先行する方が作業の効率が上がるそうです。
↑天井の下地は最初に、コンクリートスラブにあらかじめ打ち込んでおいた
「インサート」と呼ばれる金具に、吊ボルトを入れ、吊木を垂れ下げます。
この吊木の長さによって、天井裏に入るダクトのスペースや天井の高さを調節しています。
↑吊木の下に、「野縁受け」と呼ばれる下地材を固定し、
「野縁受け」と直行する方向に、「野縁」という名前の下地材を等間隔に取付け、クロスさせます。
この野縁に後程、天井の石膏ボードを固定します。
壁際は、受け材をあらかじめ仕込んでおきます。
これと固定することで、天井スラブから吊るだけではなく、
壁の躯体からも天井を支えているので安心です♪
↑コンクリートの梁をかわすため、折れ曲がった換気ダクトも、
巧みに避けながら、下地を作っていきます。
↑天井の下地が完成すると、次は壁の下地を建てていきます。
↑続いて床です。
世間では、コンクリートの床の上に直接床材を敷く工法が多いですが、
平成建設では、ひと手間かけています。
コンクリート床の上に、束を建て、その上に写真のパーティクルボードという板を固定。
さらにその上に、フローリング材を敷くことによって、
より防音性に優れた二重床としています。
↑天井の石膏ボードが貼られ、壁もボード貼りが進んできた様子です。
だいぶ部屋らしくなってきましたね。
床はすでにフローリングが貼られ、工事中に傷がつかないように養生材が敷かれています。
設備機器が搬入され、クロスを貼り、扉を入れると、
室内空間はほぼ完成形になります☆
下階のテナント部でも同じような工事が・・・
天井の下地が施工されていました!
こちらも住戸と同様に、
天井インサートから吊りボルトと野縁が施工されていますが…
材質が異なりますね?
これは軽量鉄骨の下地で、
一般的には、壁も天井も軽量鉄骨で作る建物が大多数を占めています。
テナント工事の際には、平成建設以外の職人も工事に携わるため、
この部分は、一般的な工法である軽量鉄骨下地としています。
木材よりも軽量鉄骨の方が一般的になっている背景には、
木を扱う「大工」という職人の減少が否めません。
当たり前のように木材で内装を作る様子を紹介していますが、
これも大工を有する、平成建設の特徴の一つなのです♪
次回は、この物件の特徴!
大工が施工するエントランスの様子をお伝え致します!
2015.09.12
大工登場!
こんにちは!
台風が来ては去る日々が続きますが、
現場では天候に気をもみつつも、
工事が順調に進んでおります。
しばらくぶりの投稿になります、
設計・花川です。
前回は、「定点写真」で、躯体工事が終わる直前のところまでをご紹介しました。
その最後の写真を撮影した場所が、こちらの屋上になります。
奥の方でツンツン立っているのは、雷から建物内の人を守る「避雷針」。
地上30mならではの風景です。
あたりを見回すと、、、
コンクリートを囲んでいた「型枠」を構成していた部材が
型枠大工の手により整然と束ねられ、
次の現場へと運ばれる時を待っていました。
これだけの物量のモノを、10回も下から上へ持ち上げて、
わずか数ミリ~センチ単位の誤差で、
何もない空間に、
コンクリートを流し込んでもビクともしない型枠を造る。
改めてすごい技術と精神力だな、と思わされます。
***
そしてその下では、、、
配管や配線工事が終わり、ユニットバスが据えつけられた室内に、
別の「束」が届いていました。
「木」の束の上におかれた、スケールとペンケース。
この持ち主は、、
そう、木を扱う職人、「大工」さん! です。
「型枠大工」さんたちからのバトンを受け取った彼らの手で、
上の写真のようなガランドウから、
天井や、
そして部屋の骨格となる壁、
設備配管を覆う床が、
文字通りミリ単位の精度で組まれていきます。
そんな彼らの仕事の一端を、
続く数回にわたって紹介していこうと思います。
ご期待ください!!
大工の視点から綴られた「大工ブログ」も、
よろしければどうぞお楽しみください。
2015.08.24
Drop the 梁!!
暑い・・・苦手。
湿気・・・苦手。。
冷房・・・苦手。。。
故に、夏・・・苦手。。。。
残暑お見舞い申し上げます!!
冬男、設計の四宮です☆
今回は、鉄筋コンクリートの躯体工事 締めくくりとして、
「柱」 と 「梁」 の施工方法についてレポートします!
まず、柱。
下の階から伸びる柱の鉄筋を、
圧接して、上階まで伸ばします。
炎が出ているのが分かりますでしょうか?
圧力を掛けながら、鉄筋同士を熱して溶かして、
一本につないぐ作業を「圧接」と言います。
赤い球状の部分は熱せられた部分です。
↑熱が冷めると圧接された部分は少し膨れていることが分かります。
もう一つ分かることとして、圧接屋さんは夏男です。
この作業、ものすっごい熱いです。熱気ムンムンです。夏です。間違いない!!
柱がすべて建つと、
以前にもレポートしている壁の配筋と型枠作業です。
その後、梁の型枠を建てます。
(分かりやすいので下の階の写真で)
床付近で組み立てた梁の型枠を、レッカー車で吊り上げて、
所定の位置に達したら、下からサポートを突いて、固定します。
↑サポートで梁を支えている様子。
上階のレッカー作業になると…
オペレーターさん(運転手さんのこと。以下、オペさん)はまったく上の様子が見えない状態での作業!!
どのようにしているかというと、
↑の写真は鉄筋材料搬入時のものですが、
上階の人が無線で指示しています!
オペさんは、無線からの指示。
「上げ・下げ・奥・手前・左右旋回・速く・遅く」といった音声情報を元に、
レッカーを操ります。
まさに職人同士 阿吽の呼吸。
ちなみに、
オペさんは車内での操作が多いので、
夏男ではないです。(多分)
続いて、梁の鉄筋です。
型枠の中に、上下の梁主筋と呼ばれる太い鉄筋を流して、
籠状に組み合わせていく。。。
…という方法もあるのですが、
これは一般的でない方法です。(上の写真は、一部だけこの方法で施工した時のもの。)
型枠の隙間に手が入りにくく、
鉄筋を入れていくことがとても大変なのが主な理由です。
一般部分は、床より上の高さで籠状の梁を一気に組み立てて、
レッカーを使って、型枠内へ梁の鉄筋を落としていきます。
写真を撮り忘れてしまったので、梁鉄筋の施工順序を簡単なスケッチにて・・・
① 柱の鉄筋が無数に飛び出している状態。
「馬」と呼ばれる支えを上下2段、各梁の上に置く。
② 柱の鉄筋の間を通すように、馬の上に梁の鉄筋を置く。
③ フープ筋という輪状になる鉄筋を組む。
④ レッカー車で梁の鉄筋を吊り上げ(人では持てない重さ)、馬を取り除く。
⑤ レッカー車でゆっくりと梁を型枠内に降ろす。
このように、梁の鉄筋をレッカーで吊り上げて、型枠内に納める作業を、
「梁落とし」や、「落とし込み」と呼びます。
「梁落とし」を繰り返していくと、一番最初の写真のようなパネルゾーンが完成するのです♪
次回は、躯体工事の進行具合を一気に紹介します!!