お久しぶりです。
福田昌平です。
いきなりですが
大工さんが持っているイメージがあると思いますが、
そう、指矩(サシガネ)・尺金の写真です。
私たち大工は、指矩(サシガネ)を用いて、長さや直角だけでなく、
規矩術と呼ばれる手法であらゆる角度や、木造建物の仕口・
部材の形状全般をこの曲がった定規で行っています。
この規矩術というのがとても優れものかつ、最初に頭から煙がでる大工の勉強なのですが、
簡単に説明すると、ピラミッドの角の角度を一発で出せる。といったところでしょうか?
(正確には、何度というのが出るのでなく、同じ角度を材料に書き写せるということです。)
図形が得意な方は、三平方の定理やルートなどで出せると思いますが、
大工は、現場で指矩(サシガネ)を使って出しちゃいます。
堂宮の軒先やら複雑な屋根、このさしがねがなければ、出来ません。
五重塔も建っていません。
(この話をすると、長くなりすぎるので・・・)
何が言いたいかというと、大工にとってとても大切な道具だということです。
そんな、サシガネが解体時、一本出てきました。
有名な話ですが、東大寺南大門の梁の上に置かれた墨壺のように、
大工さんの粋な忘れ物だと思いますよと、
しっかりとその当時の棟梁が見守っていたんだと思いますよと
お施主様にお伝えしたところ・・・
『じゃあ、福田さんも忘れていって下さい。』と・・・
先日その現場のお引渡を迎えました。
しかし、これからが本当のお付き合いだと思っています。
小屋裏に置かせて頂いた、さしがねのようにこの先も末永く、宜しくお願い致します。
I様、ありがとうございました。