こんにちは。渡邊です。
早速ですがこの金物をご存知ですか?
「イナゴ釘」と言います。昆虫のイナゴに似ているからその名前がついたとか。
この金物、取り扱っている道具屋が少なく、ネットか昔からやっている道具屋にしか置いてありません。
運良く買えたわけですが店の奥のほうにほこりをかぶって置いてありました。
それほど現在では使われなく必要とされていないのでしょう。まさに絶滅危惧種です。
これは羽重天井に使います。
どこに使われているかわかるでしょうか?
天井裏から見るとこんな感じです。
竿縁(写真で言うと横木の部材)の箇所にはビスで固定しています。
竿縁と竿縁の間にはビス固定ができない。
そこでイナゴ釘を使い上の天井板が反って隙間が開かないように押さえつけてあります。
何事も釘で固定していた昔と違い、
現在では無垢材を確実に締め付けて固定することができるビスが主流なので、イナゴ釘を使用しないこともあるとか。
しかし、今回この天井を任せてもらえることにあたり、
確実に丁寧にやるだけでなく、先代の大工が残してきた技法を今後何十年後の大工さんに伝えていく一人でありたいので親方に頼み使わせてもらいました。
仕上がると天井の仕事は天井裏に入らない限り見ることはできません。
どうやって作ったのかは仕事した本人しかわからないことです。
見えないからこそ何か問題が出たときには原因の把握が難しいです。
だからこそ自分がやるからにはとことんやる!と決め取り組みました。
昔に比べると工具の進化で効率、作業のしやすさは数年間で格段に上がりました。
それを代償に失っていく技術もあると思います。
僕も大工になって4年目になります。新人のうちから工具が与えられ、楽をしてきた一人です。
当時は覚えることがたくさんでがむしゃらにやってきました。
現在では家作りの流れの中である程度の仕事が任される年代になりました。
10コ上の上司が4年目に身に付けた能力と僕の今の能力は同じかと考えると、そこは確実に劣っていると考えるようになりました。
最近では簡単にやれている仕事は昔はどうやっていたのだろうと考えながら仕事しています。
残していかなくていい技術なんてないと思います。
まだまだ一人前にはほど遠く知らないことも多いです。
今までの大工がやってきたことを学んだ上で僕の大工をしていこうと思います。
書いていて熱くなってしましました、、、それではまた。