光陰矢の如し
1年が
ひと月が
1週間が
1日が瞬く間に過ぎていきます
写真はちょうど1年前の本社加工場です
主屋吹抜け周りの仮組の写真
写真の10本ほどの柱を建てるのに3日がかりだったことを
今でも昨日のように思い出します。
瀧本です!
鎌倉入りしてから早くも10ヶ月が経ち、ようやく外周りが決まり始めました!
掃き出し窓です
付け柱、付け梁が入りのっぺりしていた壁にハッキリと輪郭が出てきました
蔵にも左官が入りグッと重厚感が増したように思います
まだあと3度も上塗りするそうです!
下見板です
これがなかなか、一筋縄では行かないようで
玄関の持ち送りです
玄関です
応接室です
ササラです
段板です
和室です
広縁です
吹き抜けの卍も塗装が入りました
茶の間です
渡り廊下です
蔵の階段のササラです
最近沼津に帰るといろんな人からブログ読んでるよ!
と声をかけてもらいます。
ありがたいことです!!
そして、もう1つよく言われるのは
「いつが見どころ?」
・・・
「あぁ、いつでも見どころか!」
みなさんT様邸に興味津々
しかし、沼津ー鎌倉の距離はなかなか遠いようで・・・
みなさんなかなか見学に来れないようで・・・
が、しかし、気になるところがあれば、ぜひ一度鎌倉で実物をご覧になってください!
T様邸は刻一刻と変化しています
ではでは
おまけ:削ろう会
拝啓
小林健太郎 様
立秋が過ぎたとはいえ、厳しい暑さが続いておりますが
コバケンさん、元気でお過ごしでしょうか。
先日、コバケンさんにお会いしたときに据えていた玄能はどうなりましたか
槐(エンジュ)という材料を使って
しかも、だるま玄能と呼ばれる少し特殊な玄能
うらやましい
値も少し張るので奥さんには内緒で購入していましたね
「どっちが前なんだろうね」
コバケンさんの課題に、ぼくなりに取り組んでみました
年輪の疎な方を「アテ」と呼びます
アテとは木が成長するうえで負荷に抵抗するようにして形成されます
枝は自重で垂れないように抵抗します
その抵抗の仕方が広葉樹と針葉樹で異なります
広葉樹では引っ張りアテで抵抗するので、木が立ってている状態で枝の上側
針葉樹では圧縮アテで抵抗するので、木が立っている状態で枝の下側
にアテを形成し抵抗します。
玄能は比較的、平を使うと考えると
広葉樹の場合アテが前
針葉樹の場合アテが後ろ
にくるように据えるとよいと思います。
つまり、槐(エンジュ)は広葉樹なので”アテが前にくるように据える”のがよいのではないでしょうか。
一方、鎌倉では着々と現場が進んでいます
平松さんが玄関をまとめにかかっています
唯希さんは床組みに取り掛かりました
原田さんは1階と2階をつなごうとしています
お蔵職人の博康さんは吹き抜け回りに取り掛かっています
シンヤさんは古建具を納めていました
古建具が入ったことでぐっと現場の表情が引き締まった気がしました
今しばらくは、暑い日々が続くようです。
くれぐれも、体調管理にはお気をつけください。
平成二九年 八月 瀧本
おまけ:和歌山の大工さんの仕事
シャリシャリシャリ
シャリシャリ
スーーー
シャリシャリシャリ
スーーー
シャリシャリシャリ
この小気味良い音の正体は
原田シェフでした
原田さん曰く「包丁の切れ味で食材の味が変わる」
みんなが休憩する中、汗だくになって包丁を研いでいました
そのストイックな姿勢に敬意を表し、ぼくは原田さんのことを
「ZAP兄さん」
と、ひそかに心の中で呼んでいます
瀧本です
鎌倉では気温の上昇とともに害虫の出現率も上昇してきました
蜘蛛
蛾
巨大ミミズ
ゲジゲジ
ムカデ
スズメバチ
青大将
大量のGOKIBURI
etc・・・
始めの頃はキャーキャー悲鳴を上げていた我々ですが、
最近ではちょっとのことではビビらなくなってきました
「慣れ」とは怖ろしいものです
ぼくたちの砥場はこんな感じです(寮の裏)
夜になると
明かりをめがけて色んな虫さんたちが集まってきます
虫が得意じゃない平松さんは一足先に砥場を現場に移しました
料理でも大工仕事でも刃物の切れ味が、仕事の出来栄えや効率に影響を与えます
そこで刃物を「研ぐ」のですが、そもそもなぜ刃物が切れるのか不思議ですね
キーワードは「圧力」と「摩擦」です
鶏肉を切るときに、包丁をグッと押し付けても切れますが、横にスっと滑らすことで
より楽に切断することができます
刃先にかかる圧力と、物と刃の間に発生する摩擦によって分子間の結合を切ります
そうすることによって物体を二つに分けることができます
①刃物を押し当てて切る場合について考えます
たとえば鑿の刃先の厚みが0.01mm、刃幅が3cmのものに100gの力を加えます
刃先にかかる圧力はおよそ33気圧
この圧力は手のひらの面積を約100平方cmとしたときに、3.3トンのおもりが乗るのと同じ圧力です
これだけの力が働くと刃が当たっている部分が凹みます
すると物体を両側に引っ張る力が生じ、分子間の結合が耐え切れなくなり物体が切れます
②刃物を滑らせて切る場合について考えます
物体に刃を当てると、当たった瞬間に刃の分子と物体の分子の間に結合ができます
刃を滑らせると物体の分子が刃の分子に引きずられて動きます
こうして物体の表面の分子が削り取られます
また、このとき摩擦熱が発生します
すると、刃が当たっている部分の分子の熱運動が激しくなり結合力が弱まり削り取りやすくなります
どのくらいの熱が発生しているか気になりますね
この計算を正確にするのは困難なのでだいたいの値を計算します
1kgの力を加え刃先を素早く滑らせると、刃があったている部分の温度が
約250度上昇します
(詳しい計算方法を知りたい方は参考書を買ってみてください)
どうりで刃物でケガをしたときに「痛い」よりも先に「熱い」がくるわけですね
これで少し刃物が切れる理由がわかりました
あとは「どうやって研ぐか」ですね
それはお近くの先輩大工さんを捕まえて聞いてみましょう
そうして研いだ刃物でひたすら埋木をやらせてもらっています
あ
ついに、憧れの埋木レンジャー入隊です(詳しくは平松ブログにて)
振り返ると
チーム「付けバリスト」結成されていました
つまり
ぼくはひとり埋木レンジャーです
いや、
1人じゃない
ここにも埋木レンジャーが
タッキー&つばさ
ではなく
タッキー&シンヤ
で頑張っていこうと思いました
おまけ:鎌倉の夜
つづき
市売協同組合をあとにし、瀧本は長野県へ
T様邸のイメージの元となる、ある庵を訪ねました
庵は閑静な山の中にひっそりと佇んでいました
玄関です
中に入ってみると
T様邸では玄関は平松さんが担当しています
さらに奥に進むと
井桁の吹き抜けです
梁が幾重にも立体的に交差しています
古材に染み込んだ黒
漆喰の白
照明のやわらかい橙
その下には囲炉裏がありました
火をおこしたときに直接木に熱が当たらないようステンレスの板が回してありました
ステンレスの留めがあるならきっと原田さんが担当するのだろう
そしてひと手間
T様邸のいろりを見れるのはまだまだ先になりそうです
振り返ると階段が
見上げです
さらに見上げると
空中に橋が
客室につながる渡り廊下でした
曲線の具合がなんともこ気味良い
そして、いろんなところに埋木が
どれが埋木かわかりますか?
そして付け梁のイメージ
外に出てみると
唯希さんの大好物が
そうです!くもです
そして
博康さんの独壇場
蔵です
鉢巻の部分がスタイリッシュです
T様邸の外壁がひと段落するにはもう少しかかりそうです
今回紹介したのは庵の魅力のほんの一部です
また、写真では伝わらない庵のスケール感、空気や皮膚感覚、彩度や香りなど
ここで感じたことを少しでも多く仕事に活かしていきたいと思います
そして鹿に見送られながら長野を後にしました
さぁ、早く帰って原田さんのご飯を食べよう!
完
おまけ:庵のバルコニー手摺
原田シェフの晩ご飯で英気を養い
いざドライブへ
深夜0:30
鎌倉宮を出発して
やってきたのは福井県
T様が長年古材を収集し、保存している倉庫から工事で使う材料を調達しに来ました
この日のメインディッシュはこれ
入口の門の屋根です
解体してこの倉庫に眠らせてから二十数年ぶりに動かしたそうです!!!
関係者からは「やっとこいつの出番がきたか」という言葉が
とても感慨深いものがありますね
しかし、本題はどうやって積み込むのか・・・
総重量1トンにもなるこの屋根を動かすのは至難の技
ある程度バラして小分けにして積むのか
それを元に戻すことを考えるとなかなか手が出ない・・・
と、そこにやってきたのはT様邸御用達、運びのプロフェッショナル
ダイヅケをぐるり
リモコンをポチっと
荷台にどーーーーん
しっかり養生もしてこのとおり
わかりにくいかもしれませんが、一連の作業を目の前で見ると圧巻である
そしてプロは風とともに去って行きました
つづいて、稼いでもらった時間を利用して
少し離れた市売協同組合なる場所へ
山
山
山
あたり一面丸太の山です
そしてこの大きさ
普段製材された状態で目にするものの元の姿
これを山から切り出し、建材にするまでの労力
とてつもない工程を我々はとばして仕事をさせていただいているのだなと、改めて実感しました
と、同時に機械のない時代の人たちはどうやってこんなものを扱っていたんだろうかと
当たり前のことは当たり前じゃなのである
そんな当たり前に感謝を忘れず、日々精進したい
瀧本です
つづく
おまけ:鎌倉家の水曜日